さまざまな栄養素や抗菌作用成分を含むことから、料理好きや健康志向の人々に支持されるはちみつ。プロの料理人たちには、お菓子作りはもちろん、あらゆるシーンで活用できる万能調味料として愛用されています。こうしたはちみつの中でも、特に評価されているのが自然豊かなオーストラリアで育まれた「カピラーノ」です。そんな「カピラーノ」の特長を十二分に活かしたメニューをイタリアンのトップシェフ・神保佳永さんが伝授。いつもの料理がグンとレベルアップするので、ぜひ、お試しを!



パパッとできて特別な食材は必要なし
はちみつ入りソースが調理のポイント
今回の素材は魚。
イタリア料理には、水やトマト、白ワインなどで魚を煮込む「アクアパッツァ」に代表されるさまざまな魚の調理法があり、神保シェフもまた、こうした調理法を駆使して、絶妙の味つけと最高の火入れで魚料理を提供し続けています。
シェフが魚を巧みに調理するベースには、数々の名店で積み上げた経験があるのはもちろんですが、漁師だった祖父の影響もあるそうで、幼い頃から魚に慣れ親しみ、ある意味では英才教育を受けて育ったともいえるからなんです。

そんな神保シェフが、夏のひと皿として紹介する魚料理のポイントは、バランスのとれたはちみつの甘味をソースに活かした点。
「今回はリッチでコクのある味わいのピュアハニーを選びました。クセのないタイプなのでいろいろな料理に広く応用できます。素材の風味に寄り添うような、ほどよい香りも気に入っています」と神保シェフ。
醤油、酒、レモン汁やショウガのすりおろしに、はちみつを合わせるだけのソースですから、特別な材料も手間もいりません。が、シェフ考案のこのソースがスゴイ!
しっとりつややかな仕上がりで、いつもの白身魚を大変身させちゃうんです。高級感あるレストランのひと皿に変えるといっても言い過ぎではないでしょう。
はちみつならではの
豊かな香りもまたごちそう

自然な甘味と酸味で、夏の食卓にぴったりのはちみつレモンソースは、どんな白身魚とも相性抜群ですが、今回、神保シェフは「メカジキ」を選びました。
「メカジキは適度に脂がのっていて調理しやすい食材の1つ。スーパーで簡単に購入でき、お手頃価格で家計にやさしい点もいいですね。もちろん、冷凍ものでも構いませんよ」(神保シェフ・以下同)
また、比較的クセがないのも推薦理由の1つで、そのため下処理も簡単。全体的に日本酒を馴染ませるだけです。
あとは塩、コショウをふり、小麦粉をつけ、バターを溶かしたフライパンに入れてじんわり焼いていきます。
「バターを回しかけるようにしながら、両面がきつね色になるまで加熱していきますが、バターは焦げやすいので火加減には注意してくださいね」
さらに別のフライパンも用意して、こちらでは同時進行で付け合わせ用の野菜を焼きます。「パプリカやズッキーニなどの色鮮やかな夏野菜は大きめにカットして、色彩と食感を楽しんでいただけたらと思います」

メカジキがこんがり色づいてきたら、はちみつレモンソースをからませていよいよ仕上げ。この時、鼻を抜けるレモンとはちみつの香りがなんとも食欲をそそります。
「とても豊かな香り……。はちみつを使ったソースならではの醍醐味といえるでしょう」
さらに、「このソースは鶏肉料理にもおすすめ」とのこと。
はちみつレモンソースを使いこなすことで、メインデッシュのレパートリーが一気に増えそうです。


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ポイント①
バターが泡立ってきたら小麦粉をつけたメカジキを入れる。小麦粉はソースのとろみにもなるので、まんべんなくたっぷりつけること。
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ポイント②
魚にバターを吸わせるような感覚で、ゆっくりバターをかけながら弱火で加熱する。強火にするとバターが焦げ、魚の身が硬くなってしまうので要注意!
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ポイント③
メカジキがきつね色になったら、レモンスライスをのせて(1切れに3枚)、作っておいたはちみつレモンソースをかける。中火にして1分半ぐらい蒸し焼きに。
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ポイント④
付け合わせにはカラフルな野菜をチョイス。大きめの乱切りにして、焦げめがつくまで中火で焼く。